vol.2 そもそもCOBOLとは?
COBOLとは、「Common Business Oriented Language」(*4)の略で1959年に国際標準として公開されたプログラミング言語です。(還暦を迎えました。)
□COBOL(言語)の特徴
①可読性が高い
自然言語(英語=中学生レベル)に近い構文を持つため、その記述が文章のように冗長になりやすいですが、その分読みやすいといえます。
※読みやすいということは、作成したプログラムをドキュメントとしてそのまま使うということもできます。
②品質を保ちやすい
プログラムとしての記述の順序と構成(部・節・段落)が規定されているため、誰が書いても同じようなソースコードになります。
※多くのプログラマーが参画する大規模開発プロジェクトにおいて属人性を排した高い品質(均質化)を維持しやすいと言われています。
③保守性に優れている
コードにばらつきが出にくいということは、他の人の構文もわかりやすいので、変更や修正が容易にできることになります。新規開発時においては、プログラム構成がパターン化されていので生産性が高くなります。。
④信頼性が高い
60年という長い歴史の中で、開発された数多くのシステムがあります。その中には、現在も安定稼働しているシステムがたくさんあります。それら、多くの実績と積み上げられてきたノウハウが、高い信頼性に繋がっています。
⑤計算処理が正確で高速
事務処理を目的として作られた言語のため、金額や数量などの計算処理に強い言語といえます。
※COBOLでは「××率」といったデータ項目(変数)を指定する場合にも桁数や小数点位置も厳密に指定する必要があります。計算結果が浮動小数点数になる場合、他のプログラミング言語では誤差が生じることが多いですが、10進数で処理するので正確な数値が計算されます。膨大なデータを高速に処理することが得意です。
※事務処理の典型ともいえる大量データを一括処理するバッチ処理はCOBOLが最も得意とする処理です。
⑥OSに依存しない(普遍性が高い)
国際標準として統一した規格が定まっているため、どんなOSにも対応可能です。「Linux」から「Windows」など、異なるOSへの移植も比較的容易に行うことができます。
※他の言語と違ってCOBOLはほとんどの処理を自身の命令で実行します。“関数”や“ライブラリ”の機能を活用することが無いため、OSに『COBOLコンパイラ機能』があれば、同じ処理ができます。汎用機(メインフレーム)では、『COBOLコンパイラ』はOSに含まれています。
⑦実行メモリ容量(プログラムのメモリ使用量)の想定が容易
定義したデータサイズしかメモリを取らない(動的にメモリを取らない)ため、実行時のプログラムのメモリ配置に必要な大きさがわかりやすい。
注.
*4 その名の通り、事務(計算)処理向けに『CODASYL』(*3)(米国:国防総省とメーカー、ユーザーが集まった任意団体)によって、最初の規格が決まりました。『CODASYL』は、現在標準化の活動をしていませんが引き継いだ『ISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議)』の“JTC 1”(第1技術合同委員会)が、現在も規格化作業を行っています。最新のCOBOL規格は2020年4月に第6次規格として発表される予定です。わが国では、“JIS X3002”が標準規格です。
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